空き家を放置するとどうなるのか
2026年06月19日
「実家が空き家になっているが、今すぐどうこうしなくても大丈夫だろう」——そう思っている方は少なくありません。しかし、空き家を放置することは、ご本人が思っている以上に大きなリスクを抱えることになります。2023年12月の空家法改正で、空き家への規制はさらに強化されました。「いつかやろう」では遅いケースが現実に発生しています。
このブログでは、空き家を放置することで何が起こるのか、上田市の制度・現状を踏まえて率直にお伝えします。少し厳しい内容も含みますが、所有者の方の利益を守るためにあえて書いています。
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▶ まず、空き家とは何か
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空家等対策特別措置法では、空き家を「概ね年間を通して、建築物等の使用実績がないもの」と定義しています。具体的には、1年を通して人の出入りや電気・ガス・水道の使用がない建物が空き家と判断されます。
「ときどき荷物を取りに行っている」「お盆と正月だけ使っている」程度では、実態としては空き家とみなされる可能性があります。
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■ 1.空き家を放置する5つのリスク
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▶ リスク① 法的リスク——「特定空家」「管理不全空家」の認定
これが最も大きなリスクです。2023年12月の空家法改正により、空き家には2つの段階で行政が介入できるようになりました。
★ 特定空家等とは
以下のいずれかに該当する空き家は「特定空家等」に認定される可能性があります。
・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
特定空家等に認定されると、市から所有者へ助言・指導が行われ、改善されない場合は勧告へ進みます。勧告を受けると、後述する固定資産税の特例が外れ、税負担が大幅に増えます。さらに改善されない場合は命令、最終的には行政代執行(市が解体し費用を所有者に請求)に至るケースもあります。
★ 管理不全空家とは(2023年12月新設)
2023年12月の法改正で新設されたのが「管理不全空家」というカテゴリです。「今の状態のまま放置すれば特定空家になる可能性のある空き家」を指します。
具体的には以下のような状態です。
・壁や屋根、窓などの腐食・破損が進んでいる
・雑草や枯れ草が管理されず、病害虫が発生する可能性がある
・敷地内にゴミなどが散乱、放置されている
・木の枝の越境など、周辺の生活環境保全のために放置することが不適切
★ ここが重要なポイント
従来は「特定空家」の状態にならないと市は介入できませんでした。しかし改正後は、その手前の「管理不全空家」の段階で行政が指導・勧告できるようになりました。**規制が一段階手前まで前倒しされた**のです。「まだ大丈夫」と思っている空き家が、すでに介入対象になっている可能性があります。
▶ リスク② 税金面のリスク——固定資産税が3倍以上に
通常、住宅の敷地には「住宅用地特例」が適用され、土地の固定資産税が大幅に軽減されています。しかし、特定空家または管理不全空家として**勧告**を受けると、この特例が外れます。
結果として、土地の固定資産税が3〜3.5倍程度に跳ね上がる可能性があります。「使っていない土地に対してこれまでの3倍の税金を毎年払い続ける」——これは所有者にとって非常に重い負担です。
★ 上田市での実例
上田市では実際に2025年2月、特定空家等に対する行政代執行による除却が終了した事例があります。市は「最終手段としての代執行」も実行しており、これは「制度はあるけど使われない」というレベルの話ではなく、現実に運用されているということです。
▶ リスク③ 物理的劣化——建物の価値が急速に失われる
人が住まなくなった家は、想像以上に急速に劣化します。
・換気されない室内は湿気がこもり、カビ・腐食が進行
・水道を使わないと配管が傷み、漏水・凍結被害のリスクが高まる
・シロアリ・ねずみ・害虫の発生
・屋根・外壁の劣化に気づかず雨漏りが進行
・庭の雑草・樹木が伸び放題になり、近隣に迷惑
★ 重要なポイント①:どんなに新しい住宅でも、一冬越せば必ず不具合が出ます
これは長野県の冬を経験している方ならお分かりいただけると思いますが、どんなに新しい住宅であっても、電気を通さず人が住まない状態で一冬を越すと、水回りには何かしらの不具合が発生します。給湯器・水道管・トイレ・洗濯機の給排水——これらは「使われ続けること」を前提に設計されており、長期間使われないと内部の部品・パッキン類が劣化します。築浅だから大丈夫、ということはありません。
★ 重要なポイント②:建物は1年経つごとに査定評価が下がります
建物の価値は時間とともに確実に下がります。1年経てば1年分、2年経てば2年分、査定評価は下がっていきます。「いつか売ろう」と思っている間にも、建物の価値は静かに目減りしています。これは法定耐用年数の計算上もそうですし、市場での評価としても同じです。「待てば高く売れる」ということは基本的にありません。むしろ逆です。
★ 上田市での状況
上田市は冬季の冷え込みが厳しく、空き家の凍結被害(給排水管の破裂・水回り設備の損傷)が実際に発生しています。空き家期間が長引くほど、いざ売ろう・貸そうとした時に必要なリフォーム費用が膨らみます。
▶ リスク④ 損害賠償リスク
屋根や瓦、外壁の一部が落下して通行人にケガを負わせたり、隣家の屋根や車を傷つけたりした場合、所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります。台風や大雪の多い長野県では、この種のリスクは決して他人事ではありません。
「使っていない家」であっても、所有者である以上、管理責任は免れません。
▶ リスク⑤ 治安・近隣トラブル
空き家は不審者の侵入・放火・不法投棄の対象になりやすく、近隣住民の不安要素となります。実際、上田市の空家対策係でも「空き巣被害が増えている」「空き家周辺をスズメバチが飛んでいる」といった注意喚起がなされています。
近隣との関係悪化は、いざ売却・解体しようとした時にも障害となります。
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■ 2.「動かない」コストは想像以上に大きい
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「放置しているだけ」と思っていても、実際には毎年お金が出ていっています。
・固定資産税(特例解除後は3〜3.5倍)
・火災保険料
・庭木の管理費用
・最低限の維持管理費用
・建物の価値の目減り(築年数の経過による減価)
「使っていないのに毎年お金が出ていく」状態は、長く続くほど損失が積み重なります。10年放置すれば、税金・維持費だけで数百万円規模の負担になることも珍しくありません。
★ 弊社からの率直な意見
「思い出があるから」「いつか使うかもしれないから」というお気持ちは大切ですが、現実問題として、空き家の状態が続けば建物は確実に劣化し、活用の選択肢は減っていきます。決断は早いほど選択肢が多く、遅いほど選択肢が狭まります。
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■ 3.空き家の活用方法——選択肢は5つ
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▶ ① 売却する
最もシンプルな方法です。建物の状態が良ければ中古住宅として、状態が悪ければ古家付き土地または更地で売却します。手放すことで税金・管理費用の負担からも解放されます。
▶ ② 賃貸に出す
定期的な家賃収入が得られます。ただし、賃貸に出すためには一定のリフォームが必要なケースが多く、初期投資の見極めが必要です。
▶ ③ 解体して更地にする
建物の傷みが激しい場合、解体して更地にする選択肢があります。解体費は建物の大きさ・構造によって異なりますが、解体後は土地として活用・売却がしやすくなります。
※ただし更地にすると住宅用地特例が外れるため、土地の固定資産税は上がります。
▶ ④ リノベーション・セカンドユース
建物の状態が良ければ、リノベーションして自分で使う、または貸し出す方法があります。上田市には「上田市空き家セカンドユース事業」もあります。
▶ ⑤ 管理委託・空き家バンクへの登録
すぐに活用できない場合でも、最低限の管理を業者に委託することで、特定空家・管理不全空家への認定リスクを抑えられます。また「信州うえだ空き家バンク」への登録も活用方法の一つです。
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■ 4.上田市の空き家支援制度
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上田市は空き家対策に積極的で、様々な制度が用意されています。
・上田市空き家セカンドユース事業(賃貸・リフォーム支援)
・信州うえだ空き家バンク(売買・賃貸物件登録)
・空家対策に関する協定締結事業者との連携
・空き家ハンティングツアー(上田市・東御市・千曲市合同イベントなど)
★ 上田市の相談窓口
上田市役所 都市建設部 住宅政策課(空家対策係)
TEL:0268-71-6722
弊社では、上田市の制度活用も含めて空き家のご相談に応じています。「市の窓口に行く前に、まず不動産屋に聞いてみたい」という段階でも構いません。
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▶ こんな状態なら、すぐ動いてください
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・1年以上、誰も住んでいない・使っていない
・庭の草木が伸び放題になっている
・屋根瓦のズレ、外壁の剥がれが見える
・近隣から指摘・苦情を受けたことがある
・市役所から「建築物の適正な維持管理について」の通知が届いた
・固定資産税の納税通知書だけは届くが、現地はずっと見ていない
このいずれかに該当する方は、すでに「管理不全空家」のサインが出ている可能性があります。決断は早いほど選択肢が多く、コストも抑えられます。
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