相続登記が義務化されました

2026年06月26日

「実家の名義が亡くなった親のまま」「祖父名義のままの土地がある」——こういった不動産をお持ちの方は、すぐにご一読ください。2024年4月1日から相続登記が義務化されました。すでに施行から2年以上が経過し、過去に発生した相続についても2027年3月31日というタイムリミットが迫っています。

先週は「空き家を放置するリスク」をお伝えしましたが、今週はその根本にある「相続登記」の問題を取り上げます。義務違反には過料(10万円以下)も定められた、決して軽視できない制度変更です。


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▶ なぜ義務化されたのか
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これまで相続登記は任意の手続きでした。その結果、登記簿上の所有者がすでに亡くなっているにもかかわらず、相続登記がされないまま放置される不動産が全国で増加しました。

国土交通省の調査によれば、所有者不明土地は全国で約410万ヘクタール——九州本島の面積を上回る規模に達しています。所有者がわからない土地は、公共事業の用地買収・災害復旧・空き家対策の障害となり、社会全体の大きな問題となっていました。

この問題を解決するため、民法と不動産登記法が改正され、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。


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■ 1.制度の基本——何が義務になったのか
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▶ 申請期限

相続によって不動産を取得した相続人は、**自分が不動産を相続したことを知った日から3年以内**に相続登記を申請する義務があります。

遺産分割協議で取得が決まった場合は、**遺産分割が成立した日から3年以内**に、その内容に基づいた登記を申請する必要があります。

▶ 過料(罰則)

正当な理由なく期限内に登記をしなかった場合、**10万円以下の過料**が科される可能性があります(不動産登記法第164条第1項)。

過料は刑事罰ではないため前科はつきませんが、行政上のペナルティとして金銭の負担が生じます。

★ 過料の流れ
期限を過ぎたら即座に過料が請求されるわけではありません。流れとしては以下のようになります。

① 法務局(登記官)が未登記の不動産を把握
② 相続人に対して「相続登記をするように」と催告
③ 催告にも応じず正当な理由もない場合、登記官が裁判所に通知
④ 裁判所が事情を聴取し、過料を科すかどうか・金額を決定(10万円以下)

「黙っていれば見つからないだろう」という時代ではなくなりました。所有者不明土地問題の解消は国家的な課題であり、行政の調査体制も強化されています。


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■ 2.過去の相続も対象です——2027年3月31日が大きな期限
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ここが特に注意していただきたいポイントです。

**2024年4月1日より前に発生した相続も、義務化の対象**です。「親が10年前に亡くなったまま名義変更していない」「祖父名義のままの土地がある」——こういったケースもすべて含まれます。

ただし、過去の相続については3年間の猶予期間が設けられています。

★ 過去の相続の期限
**2027年(令和9年)3月31日まで**、または「相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内」のいずれか遅い日までに相続登記を申請する必要があります。

★ つまり——
本日(2026年6月26日)からカウントすると、2027年3月31日まで**残り約9ヶ月**しかありません。書類の収集、相続人同士の話し合い、司法書士への依頼……これらを考えると、決して余裕のあるスケジュールではありません。


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■ 3.期限に間に合わないときの救済策——相続人申告登記
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「相続人が多くて話し合いがまとまらない」「書類収集に時間がかかっている」など、3年以内に正式な相続登記ができないケースもあります。そのために2024年4月から「**相続人申告登記**」という制度が新設されました。


▶ 相続人申告登記とは

法務局に対して「私は被相続人(亡くなった方)の相続人の一人です」と申し出るだけで、相続登記の義務を果たしたとみなされる簡易的な手続きです。これにより過料を回避できます。

▶ 注意点

これは**暫定的な措置**です。最終的に遺産分割協議が成立した場合は、その日から3年以内に正式な相続登記を行う必要があります。「相続人申告登記をしたからもう何もしなくて良い」ということではありません。

また、相続人申告登記では権利の取得や法定相続分の確定は行われないため、不動産の売却・担保設定はできません。あくまで「過料を回避するための応急措置」とお考えください。


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■ 4.「正当な理由」が認められるケース
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期限内に相続登記ができないことについて「正当な理由」が認められれば、過料は科されません。法務省が示している「正当な理由」の例として以下のようなものがあります。

・相続人が極めて多く、戸籍関係書類などの収集に多くの時間を要する場合
・遺言の有効性や遺産の範囲について争いがある場合
・申請義務者である相続人自身が重病などにより登記申請を行えない場合
・申請義務者がDV被害者などで生命・身体に危害が及ぶおそれがある場合
・経済的に困窮しており登記費用を支払うのが難しい場合

★ 注意
「忙しいから」「手続きが面倒だから」「書類の場所がわからないから」——こういった理由は「正当な理由」とは認められません。最終的な判断は法務局の登記官が個別事情を確認した上で行います。


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■ 5.相続登記にかかる費用——主な3つ
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▶ ① 登録免許税

国に納める税金です。**固定資産評価額 × 0.4%** で計算されます。

例えば、固定資産評価額1,000万円の土地なら登録免許税は4万円です。

★ 免税措置あり
**2027年(令和9年)3月31日まで**、相続した不動産の価額が100万円以下の土地などについては登録免許税の免税措置があります。価額の低い土地を多く相続しているケースでは大きなメリットになります。

▶ ② 司法書士報酬

相続登記は司法書士に依頼するのが一般的です。報酬は不動産1件あたり10万円前後が目安ですが、相続人の人数・不動産の数・遺産分割協議の有無によって変動します。

▶ ③ 書類取得費用

戸籍謄本・住民票・固定資産評価証明書などの取得費用です。相続人が多い場合や本籍が転々としている場合は、書類収集に手間と費用がかかります。


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■ 6.放置すると何が起きるのか
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▶ ① 過料の対象になる

10万円以下の過料が現実的なリスクとなります。

▶ ② 売却・賃貸・解体ができない

相続登記が済んでいない不動産は、現在の名義人(亡くなった方)のままでは売却も賃貸もできません。いざ「売ろう」「貸そう」と思っても、相続登記から始める必要があり、時間がかかります。

▶ ③ 数次相続で権利関係が複雑になる

最も深刻なのがこれです。相続登記をしないまま時間が経つと、相続人だった人がさらに亡くなり、新たな相続が発生していきます。これを「数次相続」と言います。

★ 数次相続の現実
弊社が日々のお取引で遭遇するケースとして、祖父・祖母名義のままの土地で、現在の相続人が10人以上、しかも県外・海外に住んでいる、面識のない遠縁の方がいる——という事例があります。こうなると遺産分割協議書への署名・押印を集めるだけで何ヶ月、時には何年もかかります。

「いつか整理しよう」と思っているうちに、整理できる人がいなくなるのが数次相続の怖さです。

▶ ④ 担保設定ができない

故人の名義のままでは、その不動産を担保にした借入もできません。リフォーム資金の融資なども受けられなくなります。


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■ 7.何から始めればよいか
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▶ ステップ① 不動産の有無を確認する

亡くなった方が所有していた不動産を把握します。固定資産税の納税通知書、登記済権利証(または登記識別情報)、市町村の固定資産課税台帳などで確認できます。

★ 新制度:所有不動産記録証明制度
2026年2月から、本人や相続人は法務局に対して「所有不動産記録証明書」の交付を請求できるようになりました。亡くなった方の名前で全国の不動産を一括で調べることができる新制度です。「他にも不動産があるかもしれない」という方は活用をご検討ください。

▶ ステップ② 相続人を確定する

被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本を集め、誰が法定相続人なのかを確定します。

▶ ステップ③ 遺産分割協議を行う

相続人全員で「誰が何を相続するか」を話し合います。協議がまとまったら遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・実印で押印します。

▶ ステップ④ 司法書士に登記申請を依頼する

書類が揃ったら司法書士に相続登記を依頼します。申請から登記完了まで通常1〜2週間です。


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■ 8.弊社のサポート体制
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弊社では行政書士が常駐しており、戸籍収集・遺産分割協議書の作成などの相続関連業務に対応できます。相続登記そのものは司法書士の専門領域となるため、信頼できる司法書士と連携し、ワンストップでサポートする体制を整えています。

★ こんなご相談を承っています
・実家を相続したが、何から手を付けてよいかわからない
・親名義・祖父母名義の不動産があるが、どう整理すればよいか
・相続不動産を売却したいが、相続登記が済んでいない
・相続人が多すぎて遺産分割協議ができそうにない
・相続税・譲渡所得税の見通しも合わせて知りたい

★ 関連する取扱業務
弊社は売買仲介・買取再販・空き家活用・査定・賃貸管理に加え、相続支援も主要業務の一つとしています。司法書士・土地家屋調査士・税理士・弁護士との連携体制も整えています。


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▶ 心当たりがある方は、今すぐご相談ください
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・実家・親名義の土地建物の名義変更がまだ済んでいない
・祖父・祖母名義のままの不動産がある
・相続人同士の話し合いが進んでいない
・どこから手を付ければいいかわからない
・固定資産税の納税通知書だけは届くが、所有関係を把握できていない

このいずれかに該当する方は、過料のリスク・数次相続のリスクが現実のものとなっています。**残り約9ヶ月(2027年3月31日まで)**——早めの行動が将来の選択肢を守ります。


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「うちは大丈夫?」——まずはご相談ください。

相続登記の手続き自体は司法書士の専門領域ですが、その前段階の「何から始めるか」「どの不動産が対象か」「どんな選択肢があるか」を整理するお手伝いができます。「まだ何も決めていない」「とりあえず話を聞きたい」という段階でも構いません。お気軽にお問い合わせください。

 

【参考】
法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
政府広報オンライン「不動産の相続登記義務化」

相続義務化